コンセプト

幼少期に体験したことは、大人へと成長していくときの精神的基盤になります。それは一生の宝物と言えるものです。食育もまた然り。しかし、その価値はあまりにもないがしろにされているようです。
例えば、食育の一環としてさかんに行われている「芋掘り」ですが、見知らぬ誰かが育てた芋を収穫するだけの体験から得られることはわずかなものです。たとえ手間がかかったとしても、土を耕し、種をまき、水をやり、雑草を刈り、収穫し、調理して、食べるという、ひと続きのプロセスを体験することが大切です。実際に体験しなければ認識できないこと、理解できないことはたくさんあります。育てて、調理して、食べるという一連の流れを体験すれば、知りうることは大きく広がります。それは、その子どもの世界が、リアルな感触とともに大きく広がっていくことなのです。
このような食育を実践する場を求めて、私たちがたどり着いた場所。それが「南魚沼」でした。

ロケーション

コシヒカリの名産地として知られる南魚沼は、八海山の裾野に広がる自然豊かな盆地にあります。昼と夜、夏と冬の大きな気温差は、その自然を多彩な表情で演出し、米の生産に適した気候を生み出しています。豪雪地帯ならではの雪解け水は魚沼盆地全体を潤し、夏でも冷たく澄んだ水を味わうことができます。その優れた水質もまた、コシヒカリをはじめとするさまざまな作物を美味しくしていると言えるでしょう。幼少期に本当に美味しいものを食べて、味覚を鍛えることも大切な食育です。
豊かで厳しい自然、清らかな水、日本人の主食を育てる田んぼ、美味しい地場野菜、農耕体験への積極的な取り組みなど、南魚沼には食育にふさわしい条件がすべて揃っているのです。

私たちの目標

日本人になじみ深いコシヒカリの中でも、魚沼産は特別な存在です。米食味ランキングでは24年連続で「特A」認定を受け、平成5年の記録的冷夏でもその地位は揺らぎませんでした。私たち南魚沼生産組合の取り組みも、まずはコシヒカリの生産からスタートします。
といっても、基本コンセプトはあくまでも「食育」。単に生産・販売するのではありません。保育園の子どもたちが実際に田植えや稲刈りを体験し、収穫したお米を給食に使うという自給自足型の食育を実現する。それが私たちの目標です。将来的には稲作以外にも取り組み、減肥減農栽培、休耕地の復興などにも多角的にチャレンジしていく予定です。

稲作による食育と給食米の自給自足は、もともと社会福祉法人どろんこ会によるささやかな試みでしたが、食育としても生産活動としても予想以上の成果を上げることができ、自給自足に必要な量を超える収穫を得るようになりました。このウェブサイトでは、その余剰分を一般の皆様にも販売しております。食育の一環として子どもたちが田植えや稲刈りをしたとは言え、プロフェッショナルの管理下で育てられたコシヒカリはとても美味しく仕上がっています。食育や給食米の自給自足に関心をお持ちの皆様は、ぜひ一度お試しください。

体験ツアー

食育の一環として田植えや稲刈りをするという試みをどろんこ会で始めて以来、たくさんの保育・教育関係者や保護者の皆様からお問い合わせをいただいております。そうした皆様を対象に体験ツアーを実施しています。スタート当初は年間数十名ほどだった参加者も、現在では年間数百名ほどになり、関心の高さがうかがえます。百聞は一見に如かず、田植えや稲刈りによる食育がどのようなものか、実際にどんなことをするのか、どれほどの効果があるものなのか、ぜひご自身で体験してみてください。もちろん、お子さまとご一緒の参加も大歓迎です。